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第1章 細胞とミトコンドリアとクエン酸回路

「全てのエネルギーは間隙に存在する」

●第1章 細胞とミトコンドリアとクエン酸回路

「全てのエネルギーは間隙に存在する」

リシ(古代インドの賢者達)による感得の言葉である。

 

●第1節

・エネルギーとは何か?クエン酸回路の話

突然ですが、今皆さんは生きていますでしょうか?

私の書いたこの文章を読んでいるということは生きているに違いないのですが、生きているということは絶えずエネルギーを生み出しているということです。

 

心臓や肺を動かすのも食べたものを消化するのも歩くのも話すのもエネルギーを生み出しているからできることです。

 

では、ここで皆さんに一つの質問があります。

そもそもエネルギーとは何でしょうか?

 

エネルギーとは生化学的には「アデノシン三リン酸」という物質です。

略して「ATP」と呼ばれることもあります。

 

人体においてエネルギーを生み出すとは、アデノシン三リン酸をアデノシン二リン酸に分解することによる化学反応を利用して、筋収縮を引き起こすことです。

 

普段あまり意識しないかもしれませんが、話すという行為も筋肉の運動です。

 

私は英会話レッスンで発音を指導することもあるのですが、訓練していない日本人は英語を発音するための筋肉が発達していないので、聞き取ることが出来ても発音できませんし、また一度に続けて英語を話すと普段使っていない筋肉を使うことになるので筋肉痛にもなります。

 

ところが、ここで一つの問題があります。

実は体内に存在するアデノシン三リン酸をアデノシン二リン酸に分解すると、1分も経たないうちにエネルギーが枯渇するのです。

 

しかしながら、人間の寿命は1分間よりもはるかに長い訳ですが、これは四種類の化学反応を用いて常にアデノシン二リン酸をアデノシン三リン酸に再合成し続けているからです。

 

四種類の化学反応を引き起こす代謝回路は以下の4つになります。

1.クレアチンリン酸系

2.無気的解糖系

3.有気的解糖系

4.有気的脂肪分解系

 

上記のうちの1番目と2番目は無気的代謝回路と呼ばれるもので、酸素を使わずにエネルギーを生み出しています。

 

無酸素運動という言葉を皆さんも聞いたことがあると思いますが、これは呼吸をせずにエネルギーを生み出す高強度な運動のことを指します。

 

ただ、多くの人が誤解しているところですが、無酸素運動と言うのは日常言語における呼吸をしていないわけではありません。

要するに、別に息を止めているわけではありません。

 

ここで言う呼吸とは生物学上の呼吸のことであり、生物学上の呼吸とは酸素を用いてミトコンドリア内のクエン酸回路(クレブス回路若しくはATP回路とも呼ばれる)でアデノシン二リン酸をアデノシン三リン酸に再合成することを指します。

 

このミトコンドリア内のクエン酸回路におけるアデノシン二リン酸のアデノシン三リン酸の再合成が、3番目と4番目に挙げた有気的解糖系と有気的脂肪分解系に該当します。

 

日常言語における呼吸の間にミトコンドリア内において、生物学上の呼吸によってエネルギーが生み出されています。

 

古代インドのリシは、エネルギーは間隙に存在すると考察しましたが、大変賢明な考察です。

 

日常言語における呼吸と呼吸の間にエネルギーが生み出され、一日と一日との間に睡眠がありエネルギーが生み出され、仕事と仕事の間に休みがあるからエネルギーが生み出されるわけです。

 

さて、話を元に戻しますが、人間はエネルギーの大半をミトコンドリア内で有気的に生み出しています。

 

これは生物が陸に上がった時から進化の過程で発達させてきたものです。

生物が海の中にいたころは酸素がなかったので、無気的代謝のみで生きていましたが、陸に上がって有気的代謝を中心にエネルギーを生み出すようになってから進化を遂げてきたとされています。

 

というのも有気的代謝は無気的代謝と比べると18倍も効率が良いからです。

 

これは何を根拠にしているかと言うと、グリコーゲン1分子から再合成されるアデノシン三リン酸の数は無気的解糖系代謝が2に対して、有気的解糖系の代謝では36になるからです。

 

持久系スポーツにおいて、有酸素能力の向上が競技能力の最たる決定因子となるのはこの為です。

 

グリコーゲンは細胞質で分解(無気的)が始まり、最終的にミトコンドリア内に入るのですが、この時にコエンザイムA と結合した2炭素単位、アセチルコエンザイムを形成します。

 

アセチル基はオキサロ酢酸と結合しクエン酸を形成し、クエン酸回路へと進んでいきます。

 

クエン酸回路での反応中に生じた水素原子は最終的に電子伝達系で酸素に変換されるのですが、この変換の過程で発生したエネルギーによりアデノシン二リン酸がアデノシン三リン酸へと再合成されます。

 

ここで「電子」という言葉が出てきましたが、念のために説明を付け加えておくと全ての原子は中心に原子核があり、その周囲を霧状に電子が存在しています。

 

そして各原子によって原子核の周囲に電子がいくつあれば化学的に安定するかが決まっています。

 

スイヘリーベボクノフネと聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

この場合、一番目に来るスイは水素のことですが、つまり水素は原子核の周りに電子が1つあると化学的に安定するのです。

 

先ほどから化学的に安定するという言い方をしているのは実際には体内では安定した物質はあまり存在せず、電子を受け取ったり(還元反応)、電子を渡したり(酸化反応)という現象が繰り広げられているのです。

 

では、具体的にクエン酸回路の中でどのようにエネルギーを生み出しているのかということですが、以下に順を追って説明していきます。

 

ミトコンドリア内膜にある呼吸鎖というメカニズムを電子が通り過ぎることでアデノシン三リン酸を生み出しています。電子=水素イオンが呼吸鎖の中にある複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅳへと流れていき、水素イオンが内膜の外へと汲み出されます。

ミトコンドリア内膜の外側に水素イオンが次々とたまっていくと、ミトコンドリア内膜の内側と外側に濃度や電位に差が生じます。

ミトコンドリア内膜にはおよそ数万個のアデノシン三リン酸アーゼというものがあり、その構造はその中を通って水素イオンが内膜側に戻れるトンネル構造になっています。

このトンネル(出入り口)は水車のような形をしています。

 

ミトコンドリア内膜の内側と外側に生じた濃度や電位の差によって水素イオンが外側からミトコンドリア内膜の内側に移動するときにこの水車軸が少しずつ回転し始め、3つの水素イオンが通過すると120度ずつ回転し9つの水素イオンが通過すると一回転することになります。

 

このミトコンドリア内膜にはキノコを反対にしたような装置があり、水車軸が回るたびにアデノシン二リン酸をとりこみリン酸基を一つ足してアデノシン三リン酸を生み出します。

 

これがアデノシン二リン酸をアデノシン三リン酸に再合成するメカニズムです。

 

ヒトの場合、この水車軸が一回転することで9つの水素イオンを使い3分子のアデノシン三リン酸を生み出すことになります。

 

今回はここまでとします。

 

次回は『健康とミトコンドリア、酸化ストレスの関係』『アポトーシスとネクローシス』について論じてまいります。

 

掲載内容について質問・疑問がございましたら、こちらの問い合わせアドレスまでメールをお送りください。適宜ご返答してまいります。

 

 

参考文献

『ミトコンドリア革命』宇野克明著 東邦出版

 

『中長距離ランナーの科学的トレーニング』

デヴィッド・マーティン、ピーター・コー著征矢英昭、尾縣貢監訳 大修館書店

 

『Warum Papaya kühlt und Zucker heiß macht』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

『Die Entuzündung die heimliche Killer』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

『MSM Natürliche Hilfe bei Entzündungen und Schmerzen』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

参考記事

『Ernährung: Freie Radikale』

Dieter Hogenと Janett Walter

 

『抗酸化と抗炎症とフリーラディカルについて』

池上秀志

 

『LLLT (Low Level Laser Therapy)』

池上秀志

 

第1章 第2節  ・健康とミトコンドリア、酸化ストレスの関係

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