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第 3 章 健康的な油とそうでない油

●第 3 章健康的な油とそうでない油

 

第 2 章では主に抗酸化食品と抗炎症食品について述べてきましたが、実は体内で酸化を引き起こすか起こさないか、炎症を引き起こすのか炎症を消してくれるのかということに関して重要なカギを握るのが『油』です。

 

何故なら油は種類が多くあり、しかもその調理方法によって大きく変わるからです。

 

「えっ?油ってそもそも取らない方が良いものじゃないの?」と思う方も多いかもしれませんが、それは違います。

健康的な油もあればそうではない油もあるのです。

 

今回はそれをわかりやすく解説していきます。

 

脂肪は不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の二種類に分かれます。

 

化学的に可能な限り多くの水素イオンと結びついているのが飽和脂肪酸、まだ水素イオンと結びつく余地のあるものが不飽和脂肪酸です。

 

さて、ここで過去の記事のおさらいをします。

水素イオンとは要するに一つの電子です。

電子を奪われるのが酸化反応、電子を得るのが還元反応でしたよね。

 

つまり飽和脂肪酸は、これ以上電子を得る余地がないので他の物質の水素イオン(電子)を奪うことがありません。

 

従って、酸化反応が起こりにくいのに対し、不飽和脂肪酸は電子を受け取るスペースがあるので他の物質の電子を奪うことが可能です。

 

従って、酸化反応が起こりやすいのです。

 

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を見極めるのは簡単です。

常温で液体になっているのが不飽和脂肪酸、固体になっているのが飽和脂肪酸です。

 

代表的な飽和脂肪酸はバターとココナッツオイル、不飽和脂肪酸の方はオリーブオイル、米油、サフラワー油、トウモロコシ油などなどです。

 

これが意味するところは、熱したときに(燃やすという行為は炭素の酸化反応です)その油が酸化しやすいかしにくいかということを意味します。

 

従って加熱料理に適しているのは飽和脂肪酸です。

 

飽和脂肪酸は結合している炭素の数が6以下の短鎖脂肪酸と7個から11個の中鎖脂肪酸に分かれます。

バターは短鎖脂肪酸、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸に分類されます。

 

しかし、注意していただきたい点があります。

酸化に強い短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸ですが、高温で長時間加熱すると複素環アミンと多環化芳香族という発がん性物質を作ります。

 

目安としては煙が出ないように調理してください。

最も確実な方法はオーブンを使用することで160度以下の温度で調理すれば問題ないと言ってよいでしょう。

 

では、酸化しやすい不飽和脂肪酸は全て体に悪いのでしょうか?

 

そんなことは全くありません。

不飽和脂肪酸は多価脂肪酸と一価脂肪酸に分かれます一価脂肪酸の方は体内で合成が可能で、多価脂肪酸は体内で合成できないので必須脂肪酸と呼ばれています。

 

多価不飽和脂肪酸は更にオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸に分かれます。

オメガ6脂肪酸の方は炎症誘発性を持ち、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用を持ちます。

 

理想的なオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率はオメガ3:オメガ6=1:2、若しくは1:1です。

 

しかし、平均的現代人の食生活ではオメガ3脂肪酸の約20倍ものオメガ6脂肪酸を摂取していると言われています。

 

これは米油、食物油、ショートニング、マーガリン、ハム、ソーセージ等の加工肉食品を多く摂取していることに起因しています。

 

一方、オメガ 3 脂肪酸を多く含む食品はアボカド、亜麻仁油、青魚です。

オメガ 3 脂肪酸は更に3つの種類に分かれαリノレン酸、EPA そしてDHAに分かれます。

アボカドと亜麻仁油に含まれているのは α リノレン酸、青魚に含まれるのは EPA と DHAです。

 

EPAとDHAは、より強力な抗炎症作用を持ちます。

 

そして一価飽和脂肪酸はオメガ9脂肪酸に該当します。

これはオリーブオイルだと思ってもらってさしつかえがないと思います。

因みにこのオリーブオイル、不飽和脂肪酸なのですが加熱に強いです。

 

オリーブオイルは β カロチン、ビタミン E、ビタミン K という熱に強く抗酸化作用の強いビタミンを比較的多く含むことがその理由です。

従ってオリーブオイルも煙が出ず 160 度以下の温度であれば加熱に使って問題がないでしょう。

 

動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞は飽和脂肪酸やコレステロールの所為か?

 

長年、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞は動物性脂肪の過剰摂取により血中のコレステロール値が上がり、コレステロールの所為で血栓が形成され上記のような病気が起こるとされてきました。

 

しかし、それではつじつまの合わないことがあるのです。

実は心筋梗塞患者の半分は通常のコレステロール値を維持しており、心筋梗塞と脳梗塞の患者の3分の2の血管は正常であるか、僅かに狭くなっているだけなのです。

 

フレンチパラドックス。

半数の心筋梗塞患者のコレステロール値が正常だとしても、やはり動物性脂肪の摂取量が多い人の方が少ない人と比べると心筋梗塞やその他の呼吸循環器系の病気にかかる率は高いのではないかという反論があるかもしれませんがこれも違います。

 

フランス人やスペイン人、マサイ族の人達は多くの動物性脂肪を摂取する生活をしていますが心筋梗塞と脳卒中の罹患率は僅かなものです。

 

これはフレンチパラドックスと呼ばれる有名な事象です。

 

そしてハーヴァード大学が15万人の姉妹の患者を対象にした調査では、脂肪の摂取量と心筋梗塞との間には関連性がないという結論となりました。

 

真犯人は誰?

では、一体何が悪さをしているのでしょうか?

 

実は犯人は過酸化脂質という酸化した脂肪が起こした炎症によるものなのです。

 

過酸化脂質が存在すると我々の免疫系が反応しその箇所に食細胞を引き寄せます。

この食細胞が過酸化脂質と戦う時に血管壁内にアーチ状の血小板を形成します。

血小板には血液凝固作用があります。

 

ナイフで手を切っても通常すぐに血が止まるのはこの血小板のお陰なのですが、血中にこのアーチ状の血小板が形成されることで血栓が出来てしまうのです。

血管内の炎症と免疫細胞が戦っている間にさらなる炎症誘発物質が送られてきます。

 

そして、この炎症誘発物質が血小板の膜を切り裂き血液がこの血小板の中に流れ込みます。

そうすると一秒以内に血栓が形成され血液の流れを止めます。

そして、血液が流れ込まなくなった組織を死に至らしめます。

 

従って、酸化した脂質が多くあればあるほど、免疫細胞の防御反応は荒れ狂い、そして簡単に血小板の膜を引き裂くことになるのです。

 

それで一度に状況が大きく変わる訳ではありませんが、それの長期にわたる影響で心筋梗塞や脳卒中が引き起こされます。

 

要するにこれらの疾患も低度で慢性的な炎症反応によるものなのです。

 

飽和脂肪酸を摂取しないとどうなる?

飽和脂肪酸の摂取量が少なすぎると体は体内でコレステロールを合成します。

そのくらいコレステロールは必要なものですし、全てのホルモンは飽和脂肪酸から作られているのでホルモンの生成にも不可欠なものなのです。

 

飽和脂肪酸の摂取制限はすべきではないと思います。

 

オリーブオイルや青魚、アボカド、亜麻仁油、ナッツを優先的に摂取することが健康を増進すると考えていますがバターを使ってはいけない理由はありません。

 

何よりも自分が食べたいと思っているものを我慢するストレスの方が飽和脂肪酸よりもよっぼど血圧を高め、血液をドロドロにする効果があるでしょう。

 

では皆さん、健康な油と調理法で美味しい食事と健康な体で人生を楽しみましょう!

 

Bon appetite!!

 

掲載内容について質問・疑問がございましたら、こちらの問い合わせアドレスまでメールをお送りください。

 

適宜ご返答してまいります。

 

 

参考文献

『ミトコンドリア革命』宇野克明著 東邦出版

 

『中長距離ランナーの科学的トレーニング』

デヴィッド・マーティン、ピーター・コー著

征矢英昭、尾縣貢監訳 大修館書店

 

『Warum Papaya kühlt und Zucker heiß macht』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

『Die Entuzündung die heimliche Killer』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

『MSM Natürliche Hilfe bei Entzündungen und Schmerzen』

Prof. Dr. Michaela Döll著

 

参考記事

『Ernährung: Freie Radikale』

Dieter Hogenと Janett Walter

 

『抗酸化と抗炎症とフリーラディカルについて』

池上秀志

 

『LLLT (Low Level Laser Therapy)』

池上秀志

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